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熊本大学HIGOプログラム インターンシップ・研究活動報告会を開催しました!

2020-02-03

HIGOプログラムでは、プログラムの支援を受けた学生による最先端の研究成果と、2019年度に実施したインターンシップなどの成果を学内外の人々に知って頂くために、本学薬学部宮本記念館にて、インターンシップ・研究活動報告会を開催しました。報告会には、インターンシップ関係者、博士課程教育リーディングプログラム外部評価委員や本学の教職員・学生、HIGOプログラムの教職員と学生の計79名が参加しました。

 

【ポスター発表】

・研究活動報告

HIGOプログラムの独創的教育研究活動経費・学会発表支援・研究等旅費支援を受けた学生の代表4名が、自らの研究の成果を発表しました。

・インターンシップ報告

水俣、長崎県五島市、新日本科学、KMバイオロジクス、熊本日日新聞、ミャンマー、タイにおけるインターンシップに参加した学生たちがグループごとに成果を発表しました。学生が自ら企画し、HIGOプログラムの支援を受けて実現したEY新日本有限監査法人でのOJT型インターンシップ、インドでのPositive devianceに関する研修に参加した学生からの報告もありました。

・全学大学院生によるHIGOプログラムのユニークな科目の受講報告

今年度から、リーダーシップトレーニング講座や企業セミナー・行政セミナー、企業インターンシップ(熊日新聞)を全学の大学院生に向けて開講し、保健学教育部、自然科学教育部、社会文化科学教育部から、のべ12 名が受講しました。ポスターでは、特にリーダーシップトレーニング講座と企業・行政セミナーの目的や内容に触れ、他教育部の履修者の声を紹介。保健学教育部の学生が履修の動機や学習内容、感想などを語りました。

 

【口頭発表】

■ 浅野聡文[薬D2

「HIGO プログラムでの学びと自身の研究に対する価値観の変化」

研究活動や様々なインターンシップを通じて身に着いた「研究目的を明確にし、効率的に仕事を進めるスキル」や「協同的な課題発見・最適な解決策を提示する能力」、研究に対する価値観の変化について発表。「将来、様々な観点から化合物の合成を俯瞰する研究領域で活躍できる研究者を目指したい」と語りました。

 

■ Piruzyan Mariam[薬D2

「研究と海外インターンシップを通して導いた新たな気づきや発見」

研究内容に加え、留学生と日本人学生をつなぐリーダーとしての経験、フィリピン・ネパールでのインターンシップを日本語で紹介。修了後、就職予定の日本の製薬企業において、日英の語学力やHIGOプログラムで培った専門性、異文化理解力などを活かしたいと語りました。

 

■ 岩﨑 亮 (日本たばこ産業 株式会社 医薬総合研究所 研究員、2016年度修了者)

「製薬企業で博士人材に求められること ~企業研究員を経験して思う事~」

医薬品業界における博士人材の採用状況のデータを紹介し、博士人材に求められる能力について経験談を交えて語りました。企業の研究員の即戦力となるには、英語力は当然ながら、「研究への探究心」と、「専門分野以外の幅広い知識を得たいという好奇心」が重要であることから、「企業・行政セミナーなどに積極的に参加してほしい」という現プログラム生へのアドバイスを送りました。

 

■ 久恒 昭哲 (株式会社くまもとファーマ 取締役 事業開発本部長、前HIGOプログラム特任准教授)

「HIGO 生に期待すること」

これまでのキャリアやHIGOプログラムで関わった連携機関に触れた上で、現在携わっている「有用植物×システムインテグレーション事業」について紹介。予測不能な30年後の未来に向け、諸課題を解決できる人材となるためには、専門性に加え、応用力、人間力が必要であると語りました。

 

 

【パネル討論「HIGOプログラムによる人材育成は従来の大学院博士人材と社会が求める博士人材とのミスマッチを解消できたか?」】

前プログラムコーディネーターから、2012年度「博士課程教育リーディングプログラム」に採択された当時の狙いや「グローカル」という趣旨、従来の大学院教育とのカリキュラムの違いなどを説明しました。続いて、現プログラムコーディネーターは、プログラム修了者の就職状況や、従来の大学院博士人材とのキャリアパスの違いを説明。

その後、博士課程教育リーディングプログラム評価委員の方から、HIGOプログラムの採択や事後評価「S」評価の理由などを挙げていただきました。また、HIGOプログラム修了者は、就職後、HIGOプログラムでの学びがどう役立っているか、もっと力を入れるべきだった点などを語り、修了者を採用した企業の人事担当の方には、博士人材の採用状況、HIGOプログラム修了者の強みや職場での活躍状況などをお話いただきました。

その後の討論でも、各パネリストから「HIGOプログラムでは、従来の大学院博士人材とは異なり、多様かつ独特なキャリアパスを実現しているが、彼らが真に社会が求める博士人材と合致するかについては、10年後、20年後など、さらなる追跡が必要である」「九州・アジアに焦点を絞ったグローカルというテーマは、ユニークで堅実性がある一方で、『グローバル』という視点がやや欠けているため、今後の工夫に期待したい」「留学生と日本人学生の交流の場を増やしてほしい」などの意見が挙がり、有意義かつ活発な議論ができました。

 

  • [モデレーター]

井芹 道一(熊本日日新聞社 編集委員)

  • [パネリスト]

花岡 文雄(国立遺伝学研究所 所長、博士課程教育リーディングプログラム評価委員)

濵治 和博(KMバイオロジクス株式会社 人事部人材開発課長)

粂 昭苑(東京工業大学 生命理工学院 教授、前HIGOプログラムコーディネーター)

小椋 光(熊本大学 発生医学研究所 教授、 HIGOプログラム コーディネーター)

岩﨑 亮(日本たばこ産業 株式会社 医薬総合研究所 研究員、2016年度修了者)

 

 

【ポスター賞の発表および授賞式】

報告会の最後に、学生・教員・インターンシップ受入れ機関ほか学外からの参加者による投票により「優秀ポスター賞」が発表されました。受賞者には、HIGOプログラムコーディネーターの小椋光教授から、賞状と副賞(副賞は、それぞれ1位の個人またはチームのみ)が贈られました。受賞者は以下の通りです。

 

◆研究活動報告

・優秀ポスター賞:化合物スクリーニングに応用可能な線虫の健康寿命測定法の確立 中野義雄[薬D3]

 

◆インターンシップ報告

・優秀ポスター賞

1位: 水俣:林 貴裕[医M1](サポート:井上 雅理[薬D2]、伊藤 琴乃[医M1])、加世田 将大[薬D1]
2位: ミャンマー:八木田 麻耶[医D3]、前泊 里佳[医D3]
株式会社 新日本科学:下尾 陽子[薬M1](サポート:井上 雅理[薬D2])
KM バイオロジクス株式会社:寺本 啓祐[薬D2]、大城 俊[薬D2]
EY新日本有限責任監査法人:椋木 歩[医D3]

 

 

【参加者の声】

・修了者のプレゼン、振り返りが大変印象に残りました。HIGOプログラムの修了生は確実にHIGOプログラムの経験が糧になっているように思いましたので、在学生と国内外で活躍する修了者とのネットワークを強化し、プログラムのさらなる改善に活かしてほしいと思いました(他大学の教員)。

・企業が求める人材像とのミスマッチ解消に向けて、企業側としても発信していかなければならないと感じました。これからも何らかの形で連携できればと考えています(企業関係者)。

・これまでは受け入れ側として講義や見学対応をしてきましたが、プログラムの全体図や成果を見ることができて良かったです。受入れることでどのように学生さんたちに貢献できるかを想像しやすくなりました(インターンシップ受入れ機関の関係者)

・HIGOプログラムの目指す方向が大変よく理解できました。さらに多くの受講学生につながることを期待しています(インターンシップ受入れ機関の関係者)。

 

【報告会を終えて:学生オーガナイザーより】

この報告会を開催するにあたり、私は報告会の企画立案、演者への講演依頼、留学生を含む学生全員への連絡など多岐に渡る仕事を経験しました。その中で、他の学生オーガナイザーと協力し、効率よく仕事を進めるよう心掛けました。これにより「皆で報告会を開催している」という一体感が生まれ、楽しみながら報告会の準備、開催ができました。報告会当日はたくさんの方にご来場いただき、口頭発表及びパネルディスカッションでは活発な議論が行われ、改めてHIGOプログラムは多くの方に支えられているプログラムだと実感できました。今後は私自身も、その期待に応えられるよう精進していきたいです。

最後になりましたが、報告会を開催するにあたりご協力くださった全ての方々に、この場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。