Internship
インターンシップ
■熊本日日新聞社 2019.9.24- 2019.9.27, 9.30
■参加者
HIGOプログラム(学生2名、教員2名) 保健学教育部 学生1名、社会文化科学教育部 学生1名
■目 的
・新聞記者と科学者の文章の違いや、メディアを通じた情報発信の手法を学び、「スマホ時代の新聞の役割」について考える。
・ジャーナリズムの視点から「アジアの環境汚染問題と九州」について考察を深める。特に水銀・大気汚染を学び、持続可能なアジアに向けて、九州から何ができるのかを考える。
■内 容
1日目
・井芹 道一氏(熊日新聞編集委員・熊本大学客員教授)から、熊日をはじめとする地方紙、全国紙、海外の新聞に関する講義を受けた。デジタルメディアの影響で新聞の購読者が減少している。各新聞社は読者にわかりやすい紙面づくりや新聞教育に取組んでいるが、苦戦している。
・学生が日頃の情報収集法、新聞を読まない理由、新聞に期待し、望むことを発表した。ほぼ全員がテレビ・スマホ・パソコンから無料で情報を入手しており、新聞を購読していない。学生からは「どこからでも利用できる電子新聞(音声・動画、コメント機能つき)」などのアイディアが出た。末廣 淳氏(編集局 デジタル編集センター長)から、新聞の特性や熊日のデジタル状況に関するお話も伺った。
・翌日の記事執筆に備え、井芹氏から、わかりやすい文章の書き方について講義を受けた。
2日目
記者同行体験。文化生活部に配属された2名は、熊本県立美術館分館で開催された熊本書道連盟展などを取材した。残り2名は都市圏部に配属され、白川河口でのウナギ放流を取材。記事を書いてデスクの添削を受けた。
3日目
熊日宇城支局を訪れ、記者から支局の特徴や仕事に関するお話を伺った。その後、イノシシによる農作物被害を防止するため、若手農家らが結成した「くまもと☆農家ハンター」の代表者を取材。ICT技術によって捕獲にかかる労力を減らすほか、捕獲したイノシシの命を無駄にせず、ジビエとして活用するなどの工夫をしている。地域に貢献する農家の熱意に触れ、学生たちも刺激を受けた。
4日目
井芹氏から「世界の水銀問題と国連の水銀に関する水俣条約」「2018世界水銀アセスメント」「アジアの大気汚染問題」についての講義を受けた。熊本県保健環境科学研究所を訪れ、県庁職員から熊本県の大気汚染とPM2.5に関する講義を受け、活発な質疑応答がなされた。宇土市運動公園内にある大気観測局も見学。帰社後、「これまでの取材内容に関する記事を書いて提出する」という課題が出された。
5日目
・井芹氏から環境技術と九州・日本についての講義を受け、議論した。
・4日目に執筆した原稿について内容の講評と添削を受けた。読者からの電話やメールで寄せられた話題を記事にする「ハイ!こちら編集局」についてのお話も伺った。
・高本文明氏(編集局 文化生活部長)から、熊日新聞で医療Q&A「ことばの点滴」を全200回連載した経験を伺った。高本氏が書いた記事を振り返りながら、医療取材のやりがい、難解な専門用語をわかりやすく伝える上で大切なことなどについて議論した。
インターンシップを終えて
今年から、本インターンシップを全学の大学院生に向けて開講している。HIGOプログラム生に加え、保健学教育部と社会文化科学教育部からも参加があり、文理融合、異分野の学生間のネットワーク構築につながった。学生らは若者の視点から、スマホ時代における新聞の課題を指摘し、解決策を提案した。取材体験では、地方紙だからこそ発信できる熊本独特の取組みへの理解が深まった。また、科学者・ジャーナリスト・行政の異なる立場から「アジアの環境汚染問題と九州」というグローカルなテーマを見つめ、考えることもできた。専門的な内容を読者にわかりやすく伝えるための記者のスキルや考え方は、研究成果の発信にも応用できるため、学生たちには、今後ぜひ実践してほしい。
■参加した学生の声
・新聞社は、将来就職を目指す製薬企業や、現在の私の研究活動内容とは大きく異なる領域である。しかし、「相手に伝わる文章の書き方」をはじめ、新聞社の現状と今後の展望、さらには仕事に対する姿勢など、学ぶべきポイントが多かった。
・自分が書いた文章を、プロである記者の方に添削していただけたことは、非常に良い経験になった。文章の書き方を基礎から教えていただいたので、今後様々な場面で活かしていきたい。
・異分野の受講生と交流できた。少人数で受講し、特に取材体験では2グループに分かれたため、さらに密な体験ができた点も良かった。(HIGOプログラム以外の履修者)