Internship

インターンシップ

■ミャンマー インターンシップ 2019.11.24-12.1

■参加者

HIGOプログラム(学生6名、教員2名)

■目 的

2011年の民主化後、経済成長著しいミャンマーを訪問して、ミャンマーの歴史と文化、社会、医療制度を理解し、課題と解決策について考察する。また、現地で得た知識や異文化交流、意見交換などを通してアジアへの理解を深め、人材育成につなげる。

■内 容

ミャンマーの歴史・文化・社会
ミャンマー・インターンシップの実施前に、熊本大学でミャンマー(当時はビルマ)の英国からの独立や軍事政権を経て民主化に至るまでの歴史や、国内の民族の多様性などについて事前に学習した。現地でヤンゴン薬科大学を訪れた際には、ミャンマーの地形の特徴や宗教、食文化などについて講義を受けた。また、ミャンマー国立博物館では、王朝時代の仏像や工芸品などを見学したほか、国内の多くの少数民族の生活様式や文化について学んだ。ヤンゴン市内ではパゴダや、ビルマ独立を指導したアウン・サン将軍の博物館なども訪れた。

ミャンマー医療の現状を学ぶ
現地の医療を学ぶために、近代的な医療を提供するヤンゴン総合病院と、伝統医療を専門とするヤンゴン伝統医療病院の双方を見学した。設立が19世紀末に遡るヤンゴン総合病院は、病床数が2千とミャンマーでは最大の病院である。同病院では院長や医師から、ミャンマーの医療の歴史や政府との関わり、医療制度や診療科、患者数など、総合的な説明を受けた。その後、スタッフの説明を受けながら、外来棟や入院棟などを見学した。見学などから、医薬品の多くが輸入品であり、品質管理などの様々な課題を抱えていることを知った。ミャンマー国民の多くが利用すると言われている伝統医療病院も訪れ、診療科や患者数などの説明を受け、薬草を使った施術を実際に見学した。また、伝統医療の品質向上のため、今後は海外の大学や研究機関と連携していく予定についても説明を受けた。

ミャンマーの医療人材育成
ミャンマーの医療教育と人材育成について学ぶため、第一医科大学とヤンゴン薬科大学を訪れた。第一医科大学は、保健・スポーツ省が管轄する医科大学のうち、1907年創立と最も古い歴史を持つ。臨床研修1年を含む6年制で、2019年現在約2600人の学生が在籍しているという。安定的な医療人材の供給と教育の質の担保のため、欧米やアジア諸国の大学との提携やe-learningも取り入れており、医療人材不足の解消を図っている。ヤンゴン薬科大学では、博士課程が近年創設されたばかりのため、博士課程進学者が少なく、医薬品について高度な知識を有する人材育成に課題を抱えている。同大学では、HIGO生が自らの研究テーマの発表を行ったほか、所属する大学院生と両国の医療制度、教育研究について意見交換をし、研究室で実験機器も見学した。

製薬企業訪問
ミャンマーで唯一の製薬企業と言われているFAME Pharmaceuticals Industryを訪問し、工場長の案内で工場内を見学しながら、製品や企業理念、国内外でのビジネス展開などについて、説明を受けた。植物由来のエキスや成分を商品化し、主に生活習慣病やガンなどの予防を目的に販売しているという。近年はロシア、韓国、日本へも販路を拡大しているといい、各国向けの製品を手に取る機会もあった。

日本とミャンマーの国際関係、日本企業によるビジネス展開
日本とミャンマーの国際関係を理解するため、ヤンゴンの日本財団事務所を訪れ、同財団が2013年からカレン州で実施している協力援助事業について説明を受けた。ミャンマー東部に位置するカレン州でのこのプロジェクトは、現地の豊富な薬草資源の有効活用や農家の所得向上といった目的の他に、国内紛争後の平和を定着させる役割を果たしていることを学んだ。また、2011年の民主化後、海外から新たな市場として注目を集めているミャンマー経済の現状と日本企業の現地への進出状況などについて、日本貿易振興機構(JETRO)ヤンゴン事務所で説明を受けた。経済が活気付くミャンマーにおいても、インフラや電力の安定供給などの問題が産業育成を妨げていることや、既に800社を超える日系企業が進出しており、現在もITや医療などの分野で進出を図る企業が多いことなどを学んだ。

インターンシップを終えて
今回のインターンシップでは、近年民主化したばかりで、東南アジア諸国の中で経済発展の途上にあるミャンマーを訪問した。現地での講義や人的交流、訪問などから、ミャンマーの歴史や文化、経済などを学びながら、学生にとって身近な医療制度や医療教育の課題を検討した。その結果、学生たちは現在のミャンマーの経済状況の中で最も必要とされる医療サービスは何かを考察したり、ミャンマーの医療人材育成において、政治体制の変化と医療教育の質・量がどう関わっているのかを考えたりと、幅広い視野から課題をとらえることができた。ミャンマーは歴史的にも経済的にも、日本と関わりの深い国である。今回、開発支援やビジネスも含めた日本の多様な関わり方を学んだことは、学生たちが将来的に同国やアジアで活躍するための貴重な知見になると思われる。

■参加した学生の声

今回のインターンシップを通してミャンマーだけでなく、アジア諸国の文化、宗教、経済に関して以前より関心を持てるようになり、今後アジア諸国と関わる仕事や事業を行うときは、文化・伝統・宗教、加えて、人々の生活環境を含めた多角的な視野で遂行したいと考えた。

今回の訪問で、予防歯科を発展途上国で普及させるために、導入時期を経済発展のGDPの観点から分析すると言うヒントを得ることができたことが最大の収穫であり、今後の課題になった。

ミャンマーは数年で著しい経済成長を遂げているが、貧富の差は依然として残ったままである。もちろん経済や産業の発展は重要だが、先進国は単に途上国をビジネスの場として利用するのではなく、途上国に暮らす人々のために何が出来るのかをよく考えなければならないと感じた。

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